脱炭素社会への貢献
当社は、気候変動への対応を経営課題と認識し、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量算定に取り組んでいます。さらに、国際的な枠組みであるTCFDに基づく開示を進めるとともに、温室効果ガス削減への貢献を推進します。
気候変動問題と当社の認識
地球規模の気候変動への対応は「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つに位置付けられ、2016年11月発効のパリ協定以降、世界中で取り組みが進んでいます。日本においても、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」が宣言され、気候変動への対応が一層重要となっています。
当社は、気候変動への対応を重要な企業の社会的責任と認識し、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを進めています。これまで「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、事業活動に伴うCO₂排出量を把握するとともに、独自の環境中長期目標である「エコビジョン」を設定し、燃料や電力の効率的な利用や削減に向けた継続的な取り組みを進めてきました。
サプライチェーン全体での温室効果ガスの算定と把握
CO₂をはじめとする温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の国際的な基準であるGHGプロトコルは、サプライチェーンの上流から下流まで全体における排出量(間接排出)を重視しており、その算定・報告基準が設定されています(表1参照)。当社では、従来の自社での直接排出に加えて、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の算定を進め、状況を把握しております。
サプライチェーン全体での温室効果ガスの算定方法(表1)
当社のサプライチェーン全体でのCO₂排出量
CFP(カーボンフットプリント)の算定
カーボンニュートラルを実現するためには、個々の企業の取組みのみならず、サプライチェーン全体での温室効果ガスの排出削減を進めていくことが重要と考えています。
当社はサプライチェーンにおいて、上流と下流の間に位置する中間製品メーカーですが、脱炭素・低炭素製品が選択されるような市場が創り出されることに貢献できるよう、 その基盤として製品単位でのCO2 排出量 (カーボンフットプリント: CFP) を見える化する仕組みを構築しました。
CFPの定義
CFPとは、「炭素の足跡」を意味する言葉で、「気候変動への影響に関するライフサイクルアセスメント(LCA)に基づき、当該製品システムにおけるGHG排出量から除去・吸収量を除いた値を、CO₂排出量相当に換算したもの」と定義されています。
CFPは、原材料の調達から、生産、流通・販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルといった製品のライフサイクルステージの各段階において排出されるGHG排出量から除去・吸収量を除いた総量を表す指標です。
(経済産業省 カーボンフットプリントレポートより)
CFPの算定方法(藤倉化成の考え方)
当社では、CFPにおいては、以下の考え方で算定しました。
Scope1,Scope2 |
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Scope3 Category1 |
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Scope3 Category3~5 |
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CFPの算定範囲(藤倉化成の考え方)
中間材料メーカーである当社は、算定範囲については「製品の開発から出荷まで(Cradle to Gate)」の考え方を取り入れております。
CFP算定範囲は、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)より発行されたPathfinder Frameworkに基づいています。
CFPの報告様式
温室効果ガス削減への取り組みが急速に進む中、お客様からの製品のCO₂排出量に関する報告要求が増加しています。当社は、お客様からのさまざまなご要望にお応えできるよう、明確かつ敏速に対応するため、報告様式を定めました。
「製品製造時のScope1,Scope2 CO₂排出量算定実施報告書」と「カーボンフットプリント算定実施報告書」の2種類を用意し、運用を開始しました。
気候変動対策での新たな価値創造
当社は、気候変動への対応を経営課題と認識しています。2023年5月にTCFD(気候変動に係るリスクと機会についての国際的枠組)へ賛同し、当社単体でのTCFD提言に基づいたシナリオ分析を行いました。
また、当社製品の温室効果ガスの削減を進めていくだけでなく、お客様との取り組みで、新たな技術や新たな分野において当社製品を用いていただくことでも、温室効果ガス削減への貢献を推進します。気候変動対策を革新的価値の創造の機会と捉え、積極的な研究開発とイノベーションを推進し、持続的に発展し続ける社会の実現を目指します。