中期経営計画とサステナビリティ
当社では、2030年を長期的な節目と定めて、2023年4月から、その長期目標に向けての第一歩となる、第11次中期経営計画をスタートしました。すべてのステークホルダーの皆様とともに、ありたい姿へ向けて前進していきます。
第11次中期経営計画2年目を迎えて
事業ポートフォリオの浸透を進め、"ありたい姿"の実現へ
第11次中期経営計画の1年目である2023年度は、原材料高騰、為替変動の影響から経営環境は非常にめまぐるしいものとなりました。厳しい状況の中、グループ会社間の情報共有と繋がりを強化し、目標達成に向け推進しました。引き続き、2030年のありたい姿「共創×進化×化学の力で新たな価値を提供する」の実現へ向け、事業ポートフォリオの浸透と推進に藤倉化成グループとして注力していきます。
第11次中期経営計画の2年目となる2024年度は人的資本の重要性に着目し、従業員の能力を最大限に引き出すため、3点の重点施策について取り組みます。

取締役
管理本部長
栗原 進
社会課題の確認と藤倉化成が提供できる価値
当社の2030年のありたい姿の実現は、事業を通じて社会課題を解決することと直結していると認識し、まず、社会課題の確認とその社会課題に対して、5つの事業セグメントごとに提供できる価値を検討しました。 5つの事業セグメントが示した提供できる価値が、当社が目指していく方向性と捉え、第11次中期経営計画から、当社の強みを活かした取り組みを進めていきます。

第11次中期経営計画「次世代に繋げる新しい姿の構築」
第11次中期経営計画では、基本方針として、「次世代に繋げる新しい姿の構築」を掲げました。今回の中期経営計画においては、本方針に基づき、事業領域3つの戦略と経営領域2つの戦略を策定し、当社の持続的成長のための5つの戦略として、全社で取り組みを進めていくこととしました。
事業領域の3つの戦略として、事業ポートフォリオを導入し、「収益性」と「成長性」を2つの軸とした上で、 『そだてる:技術開発の拡充』『のばす:注力事業の強化』『ささえる:基盤事業の収益性拡大』を定めました。
5つの事業セグメントが、それぞれ展開する事業分野や製品群を3つの領域に分けて、事業ポートフォリオ戦略を展開していきます。それぞれの事業セグメントが新たな価値を創造し続け、事業内容の新陳代謝を進めていくことで持続的成長を実現していきます。

経営領域の2つの戦略として、「サステナビリティの取り組み」と「経営基盤の強靭化」を策定しました。2023年4月に、サステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ課題を経営課題として認識し、取り組んでいます。これまでのCSRに加え、事業を通じた社会課題解決を進め、当社の持続的成長に繋げていきます。また、経営基盤の強靭化を目指し、各部門の業務特性に応じたDXを推進し、変化への対応と持続的な成長を支えていくよう取り組みます。
また、業績、事業戦略に加え非財務情報の開示も積極的に進め、ステークホルダーの皆様への情報開示を充実させていきます。

人的資本経営の重要施策
1. 人材育成
2024年度に人材育成をはじめとした人的資本の考えの構築を進め、事業ポートフォリオの推進とワークエンゲージメントの向上を目指します。当社は従業員同士が繋がる文化を強みとし、「挑戦を後押しする社風」「多様な考えを受け入れる風土」があり、相互理解と成長を促し、イノベーションを生み出す組織基盤を構築していきます。
2. ダイバーシティ&インクルージョン
多様性がイノベーションを生む土壌となると考えており、女性活躍、シニア活躍、障がい者活躍を推進します。多様な人材が活躍するには多様な働き方に柔軟に対応するため、制度整備をはじめとした両立支援の施策と職場へのフォロー体制を構築していきます。
3. エンゲージメント
エンゲージメントサーベイを実施し、組織が従業員の働きがいを理解し、効果的な職場環境を構築しているかを確認しています。従業員の声から現状を客観的に把握することで、改善すべきポイントを明確化していきます。また、経営理念を積極的に浸透させる活動を展開しており、経営理念に共感し行動することで、従業員のモチベーション向上や組織の一体感を促進しています。
その他、定期的なフィードバック面談をはじめとした上長との面談制度、自己申告面談をはじめとした人事部門との面談制度から従業員の能力や志向を把握し、組織全体のパフォーマンス向上に繋げています。
企業価値向上に向けた取り組みとして、
資本収益性を意識した経営の実践を推進
2030年のありたい姿「共創×進化×化学の力で新たな価値を提供する」の実現へ向け、資本収益性を意識した経営を目指し取り組みを推進しています。2024年度も持続的な成長を目指し、企業価値向上の取り組みを継続していきます。
第11次中期経営計画の1年目である2023年度は、ROEをはじめとする指標とともに資本コストを的確に把握し、収支計画や資本政策に反映させるため現状分析を進めました。今後は財務健全性を意識した資本政策をベースに、資本収益性を重視した経営の取り組みを進めていきます。
また、当社は、2023年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。環境負荷の低減や人的資本の向上などの非財務価値を高めることで企業価値の向上に繋げていきます。

取締役
管理本部副本部長
土谷 豊弘
資本収益性を重視した経営のポイント
1. 資本コストの把握
効果的な資本配分や投資判断を行うため、資本コストの把握を目指し、経営の意思決定に繋げるための基盤とします。経営の意思決定においては、資本コストの正確な把握が企業価値の最適化やリスク管理に直結すると考えています。また、投資判断や資本配分の基準として資本コストを活用し、効率的な経営戦略を展開し、持続的な成長と競争力強化に繋げていきます。
2. 株主還元と資本政策
第11次中期経営計画期間中「総還元性向70%以上を目指す(配当16円以上は維持)」としています。事業ポートフォリオの推進とともに資本収益性を意識した取り組みから、企業価値の向上を目指していきます。
3. 「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」について
当社は気候変動問題を重要課題のひとつとして挙げていおり、2023年5月にTCFDへ賛同しました。TCFD提言に基づいたシナリオ
分析については、詳しくはこちらをご覧ください。
第11次中期経営計画における収益計画
まず、この数年で落ち込んでいる業績の早期回復が最優先事項となります。
原材料価格が高騰する中、お客様への安定供給を前提とした適正な購買、販売価格の採用により、収益性の改善を進めていきます。
事業ポートフォリオ戦略における『ささえる』領域は、直近での業績回復において大きな位置づけとなり、すべての業務における収益構造の改革に注力していきます。
成長戦略としての『そだてる』『のばす』分野への新たな投資においては、成長性だけでなく投下資本に対する効率性についても定量的に見定めることで、最適な事業ポートフォリオを構築し、企業価値の向上に繋げていきます。

株主還元、資本政策
第11次中期経営計画においては、株主還元、資本政策について具体的な数値目標を提示し、その目標に向けて企業価値を高めていきます。
当社では、持続的な株主還元のためには、資本効率性を重視しながらも、将来の成長に向けての積極的な投資と、メーカーとしての責務である安全や安定供給に対しての投資のバランスを考慮することも必要と考えています。
政策
- ROE8%以上を目指す
- 機動的な自己株式取得
還元
- 第11次中期経営計画期間中
総還元性向70%以上を目指す
(配当16円以上は維持)
