トップメッセージ

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メッセージ

当社は、「ともに挑み ともに繋ぐ 常にお客様目線で上質な価値を創出する」を経営理念としており、全ての従業員がこの経営理念を基本的な考え方として共有しています。そして、当社のサステナビリティとは、当社が、事業を通じて環境・社会課題の解決に貢献する企業となることで、持続的に成長していくことと認識しております。
その実現のために、長期目標として、2030年のありたい姿「共創×進化×化学の力で新たな価値を提供する」を掲げ、現在、2023年度からの第11次中期経営計画に取り組んでおります。これからも、サステナビリティ経営の推進により、新たな価値の創出とその具現化で企業価値を向上させてまいります。
ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続き一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

藤倉化成株式会社
代表取締役社長

加藤 大輔

TOP INTERVIEW代表取締役インタビュー

2030年のありたい姿

共創×進化×化学の力で
新たな価値を提供する

当社は2023年4月から3カ年を対象とする『第11次中期経営計画』をスタートさせました。
5つの事業が創り出す価値をベースに、持続可能な社会の発展に貢献し、
2030年のありたい姿の実現を目指します。
その戦略の内容と、目標実現に向けた想いを加藤代表取締役社長に聞きました。

「次世代に繋げる新しい姿の構築」へ。
第11次中期経営計画スタート

第10次中期経営計画の振り返りをお願いします。

第10次中期経営計画は、当初業績目標を大きく下回り、惨敗と受け止めています。
コロナウイルス感染症による経済活動の制約、部品供給不足による自動車減産や世界的なサプライチェーンの混乱、急激な原材料の高騰、さらにウクライナ侵攻による市況の悪化に大きく影響を受けました。
具体的には、当社は多岐にわたる産業分野に、さまざまな製品でエントリーしていますが、自動車向けの需要減、住宅の着工件数減、リフォームの需要減、電子部品市場の低迷など、ほとんどの分野でコロナ禍の影響を受けました。

第10次中期経営計画では「変化」をキーワードとしていましたが、いかがでしたか?

業績について目標は未達に終わりましたが、第10次中期経営計画では「変化」をキーワードとして、新商品開発や新市場開拓および、次への変化に繋げるための体制の整備等の重点施策を進めてきました。これについてはコロナ禍の中でも着実に進めることができ、手ごたえを感じています。
これらを具体的な形にしていくことで、第11次中期経営計画に繋げることができると思っています。

第11次中期経営計画のねらい、特徴を教えてください。

第11次中期経営計画においては、基本方針を『次世代に繋げる新しい姿の構築』としました。この考え方を進めていくためには、長期にわたり自社のありたい姿を全従業員で共有することが必要です。そして、バックキャスティング思考を強固に進めるため、新たな試みとして、2030年のありたい姿を『共創×進化×化学の力で新たな価値を提供する』と明確にしました。
この2030年のありたい姿と現状とのギャップを認識し、そのギャップを埋めていくためにやるべきことを策定するバックキャスティングと、現状の延長線上での姿であるフォアキャスティングとの融合を計画立案の基本的な考え方としました。本来であれば第11次中期経営計画の開始年であった2022年度の1年間を準備期間として、全従業員参加型で時間をかけて議論を重ね、計画を立案しました。
当社は今年で創立85年となります。長い歴史の中で引き継いでいかなければいけないものもありますが、世の中が大きく変わっている中で、当社も変化していくことが重要と認識しています。

第11次中期経営計画の事業戦略のうち、事業ポートフォリオ戦略のねらいを教えてください

当社の事業ポートフォリオにおいては、収益性と成長性の二つの軸で、5事業セグメントごとにそれぞれの事業展開において、『そだてる』『のばす』『ささえる』の3つの領域に分け、戦略の立案を行いました。
事業ポートフォリオ戦略の推進により、各事業セグメントの事業内容が常に新陳代謝していくことで、当社が持続的に成長していくことがねらいです。

この考えは今までにはなかったのでしょうか?

これまでは、各事業セグメントにおけるそれぞれの製品をSBU(Strategic Business Unit:戦略事業単位)に分けて管理していたのですが、全社としての枠組みが少し曖昧な部分がありました。
第11次中期経営計画での当社の事業ポートフォリオ戦略においては、3つの領域で戦略の立案から進捗管理まで、全社で共通の尺度で進めていけるようになったと考えています。

社内活性化、変化は起きていますか?

第11次中期経営計画はまだ始まったばかりですが、明確な方向性が示されたことで、計画の立案において自分たちの担当している分野・製品が、それぞれ事業ポートフォリオの3つの領域のどこに位置付けられるのかについて、かなりの議論をしています。それぞれの事業環境や将来性を含めて議論しており、大変有意義に感じるとともに、この中期経営計画の中で、実際の行動に繋がっていく大きな期待感があります。

■2030年に向けた当社の歩むべきステージ

サステナビリティ戦略の実現に向けて

経営戦略の「サステナビリティ戦略」について、
あえて今回強く打ち出していく理由を教えてください。

サステナビリティという言葉が出てくるずっと前から、当社は長い歴史の中、社内の各所で個々に取り組んでいました。そして、2019年頃から、CSR(企業の社会的責任)という括りで、会社としての課題を明確化しました。その後、当社が応えていくべき世の中からの要求は、ますます高度化・複雑化していく中で、当社としても、もう一歩踏み込んだ形で取り組んでいく必要があると認識しました。そして、2023年4月から、サステナビリティを前面に出し、サステナビリティ委員会を設置し、経営課題として全社的な取り組みとしていくこととしました。
サステナビリティ課題への取り組みは、当社の持続的成長に繋がるものです。個々の取り組みから、CSRそしてサステナビリティへと進化していく中で、全従業員の意識がより高まっていくように進めていきたいと考えています。

藤倉化成の事業はどう社会課題とリンクするのでしょうか?

世の中の社会課題はさまざまなものがあると認識しています。当社の事業規模では対応が難しい大きな課題もありますが、当社は化学メーカーですので、製品を通じての、環境課題への貢献が身近なテーマとしてあげられます。もちろん環境以外の社会課題についても取り組んでいきますが、中でも、気候変動については、世界共通の喫緊の社会課題と認識しています。

脱炭素にも当然関わっていくということですか?

当社は化学メーカーとして、技術開発によって脱炭素社会に貢献する製品を世に出していくことが命題となります。当社では、まずCO₂排出量削減に向け、可視化として、Scope1,2,3まで含めたサプライチェーンCO₂排出量を算定し、開示しています。さらには、製品個別でのカーボンフットプリント算定の仕組みも構築し、お客様への開示も始めました。現在、グローバルでの可視化の検討も進めています。

今後、事業、製品を通じた社会貢献に向け、新製品・技術開発に力を入れていくのでしょうか?

これまでも取り組んできましたが、第11次中期経営計画においては、社会・環境課題解決型の事業や製品開発を積極的に進めていきます。例えば、塗料や樹脂では、溶剤型主体だったものが、水系に置き換わっていく、この変化は分かりやすいと思います。
また、原材料も石化由来からバイオマス由来へ移行し、市場の要求とともに加速化されていくことになると思いますので、世の中の変化を見据えながら、積極的に製品開発に取り組んでいきます。

従業員を始めとするステークホルダーの皆様にメッセージをお願いします。

当サステナビリティレポートは、CSRレポートからの進化の初年度となります。CSRレポートでも、当社の取り組みや目指す姿を示す媒体としての役割を果たしてきましたが、今回はサステナビリティレポートとなることで、さらにステップアップしていきます。まずは、『私たちはどういう会社で、これから何をしようとしているのか』を、売上や利益といった数値だけでなく、当社グループの今後の方向性を明確に示し、サステナビリティレポートを通して、当社グループ全従業員で意識を共有できればと思っています。
また、ステークホルダーの皆様にも、これまで以上に当社グループのことを知っていただくきっかけになると幸いに思います。